実はちゃんとした違いがわかってない!? 近視・遠視・乱視・老視の違いをおさらい

「視力が悪い」とひと口に言っても、近いものが見づらい、遠いものがぼやける、物がゆがんで見える、など症状は人によってさまざま。では一体、それらの見え方の違いはどこにあるのでしょうか?目の構造とともにわかりやすく解説します!
近視・遠視・乱視は屈折異常によるものだった
人間の目の構造というのは、わかりやすく例えると、カメラと同じです。
カメラのレンズと同じ働きをするのが、目の水晶体と呼ばれるもので、カメラのフィルムは、目の網膜です。カメラで写真を撮る際、レンズを前後に動かすことでピントを合わせますが、人間の目は水晶体がその厚みを変化させることでピントを合わせ、物を見ています。この働きを、『調節』といいます。
では、正常な目(正視)、近視、遠視、乱視とはそれぞれどんな状態を言うのでしょうか。例えば遠くを見たときに、網膜にきちんとピントが合う屈折状態の人は『正視』、網膜より前にピントが合う屈折状態の人を『近視』、網膜の後ろにピントが合う屈折状態の人を『遠視』といいます。そして『乱視』は角膜や水晶体にゆがみがあるため、焦点が一点に結ばれない目を持つ人のことをいいます。
ちなみに、厳密に言うと乱視ではない人はほとんどいないことがわかっており、近視や遠視の目には乱視が合併していることが多いのだそう。
出典:公益社団法人 日本眼科医会-子供が近視といわれたら−2.近視と遠視、どうちがうの?正視ってなに?
▲虫めがねのように目の奥で光を1点に集め、その場所が近い、遠い、乱れているかで症状が変わります。
しかし驚くことに、これらの明確な原因については、きちんと解明されていないのだとか!ただ、そんな中でも考えられるとされる原因と症状をまとめてみると、以下のようになります。
【近視】
▼原因
眼軸長(角膜から網膜までの眼球の長さ)が長い、屈折力が強い、またはその両方
▼症状
近くは見えるが遠くはぼやける
▼矯正
凹レンズで矯正
【遠視】
▼原因
眼軸長が短い、屈折力が弱い、またはその両方
▼症状
近い、遠いに関係なくぼんやりとして見える
▼矯正
凸レンズで矯正
【乱視】
▼原因
角膜や水晶体のカーブのゆがみ
▼症状
物が何個もあるように見えたり、ゆがんで見える
▼矯正
屈折度に合わせた乱視レンズ
誰もがなり得る「老視」は、ほうっておくと眼精疲労に!
老化現象のひとつとして現れる現象が『老視』です。若い人ほど目の調節力は大きいのですが、年齢とともに水晶体の弾性が失われ、衰えていきます。一般的には40代くらいから徐々に、近くを見る作業がつらい、目が疲れる、などの不快感が現れます。これらを感じ始めたら、これは老視のサイン!
●正視の人
⇒近くのものが見づらくなります。だいたい40代くらいで約35 cmの距離にあるものが見づらいと感じる人が多いようです。
●近視の人
⇒近くのものは見えますが、よく見える位置の少し手前のものや、遠くが見えにくくなります。よく「近視の人は老視になりにくい」といいますが、これは間違い。もともと近くに焦点が合いやすいため、老視を認識しづらいことからこのように言われているようです。
●遠視の人
⇒正視や近視の人よりも、老視を早く感じる傾向にあると言われています。近くのものから中間くらいの距離にあるものが見づらくなります。
たいていの人は45歳ごろには老眼鏡の必要を感じるようになり、残念ながら老視を治す方法というものはありません。
「まさか自分が?」と、加齢を認めたくない気持ちはわかりますが、老眼鏡を使わず見づらいままで生活し続けるなど、老視をほうっておくのはNG!目に疲れがたまり、眼精疲労につながることも。さらに眼精疲労が続くと、目の奥が痛い、頭痛がする、肩こりがする、などのひどい症状に悩まされてしまう可能性もあります。
老視かな?と感じたら、まずは眼科専門医に検査してもらうことをおすすめします。現在は、老眼鏡のほかにも「大人のためのコンタクトレンズ」なる遠近両用タイプのコンタクトレンズもあるので、老視であることが周囲にバレずに済みますよ!
【参考】
公益社団法人 日本眼科医会-子供が近視といわれたら−2.近視と遠視、どうちがうの?正視ってなに?
http://www.gankaikai.or.jp/health/39/02.html
公益社団法人 日本眼科医会-目についての健康情報-40代で始まる目の老化−6.老眼をほうっておくと?
http://www.gankaikai.or.jp/health/37/06.html
NIDEK CO., LTD.-目のおはなしVol.6 近視・遠視・乱視・老視
http://www.nidek.co.jp/eyestory/eye_6.html
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