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iPS細胞で目の治療!?
『加齢黄斑変性』に希望を与える再生医療とは?

iPS細胞で目の治療!? <br />『加齢黄斑変性』に希望を与える再生医療とは?

山中伸弥博士のノーベル賞受賞により、一気に注目を集めたiPS細胞。そのiPS細胞を使った目の手術がおこなわれたことをご存じでしょうか?
iPS細胞を使った臨床研究として世界初の事例となったのは、欧米での失明率1位の難病『加齢黄斑変性(かれいおうはんへんせい)』の手術でした。今後の進展が待たれるiPS細胞の研究を、手術内容を交えてご紹介します。

『加齢黄斑変性』ってどんな病?

『黄斑』とは網膜の中心部にある1.2mmから2mmほどの小さな部位で、この部位には色覚の基礎となる錐体細胞が高密度に集まっています。これらの黄斑組織は固視点からの光が集まる部位でもあり、『キサントフィル』という黄色の色素が集まることから『黄斑』という名前がつけられました。
その中心に当たる組織は「中心窩」と呼ばれており、視覚的な情報をあつかうすべての活動において、もっとも重要な領域であるといわれています。中心窩を含む黄斑は、文字通り網膜の中心に位置する重要な“コア”といえるのです。

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出典:MacuHealth

『加齢黄斑変性』とは、加齢などの要因によって黄斑がダメージを受け、さまざまな視覚異常を引き起こす病気のことです。黄斑の変性によって視野の中心が歪む、暗くなる、欠けるなどの症状がおこり、最悪の場合は失明にいたります。
なお、『加齢黄斑変性』による中途失明率は冒頭に記したように欧米での第1位、日本では第4位にとどまりますが、食生活や生活習慣の変化により、近年になって患者数が高まっている傾向にあるようです。

再生医療による『加齢黄斑変性』への挑戦

高橋政代博士をプロジェクトリーダーに、理化学研究所と先端医療振興財団の共同により世界初の臨床研究がおこなわれたのは、昨年9月12日のこと。移植1例目となる手術を受けたのは、既存の薬物治療などでは効果が確認できない重度の『滲出(しんしゅつ)型加齢黄斑変性』を患う70代の女性でした。

この女性の場合、腕から直径4mmの皮膚を採取し、6種類の遺伝子を組み入れる方法でiPS細胞を作製。さらに特殊なたんぱく質を加えることで網膜組織の一種『網膜色素上皮』に変化させ、およそ10カ月の培養期間を経てシート状の移植組織を完成させました。
こうしてできあがった「網膜色素のシート」を長さ3mm、幅1.3mmの短冊形に加工し、病巣に移植するというのが、この時おこなわれた手術です。
ではなぜ、黄斑の病気である加齢黄斑変性の患者に『網膜色素上皮』を移植することになるのでしょうか?

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出典:Taylor Retina Center – Macular Degeneration

“ウエット型”と呼ばれる『滲出型加齢黄斑変性』の場合、その多くが色素上皮の下にある「脈絡膜」から発生した新生血管によって引き起こされます。
新しく発生したこの血管を『脈絡膜新生血管』と呼びますが、もちろん網膜の下に不要な血管が生じた病態は正常ではありません。この新生血管の発生の原因が、加齢による網膜色素上皮の機能低下によるものだと考えられているのです。

滲出型加齢黄斑変性は、この新生血管からの出血や滲出物により、視細胞機能がダメージを受けることによって起こります。したがって、滲出型加齢黄斑変性の治療としておこなわれる治療法の多くが、新生血管の拡大を抑えることを目的としたものとなります。いずれも視力の維持や病の進行を抑えることはできても、根治させることに有効な治療法とはいえないのが現状です。

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出典:The Japan Times – Japanese government panel OKs world’s first clinical research using iPS cells

そこで臨床研究としておこなわれたのが、異常をともなう新生血管を取り除き、代わりに培養した結膜色素のシートを移植するという手術です。
じつは、結膜色素上皮細胞は視細胞のメンテナンスにとって重要な役割を持っており、新生血管の原因となる、古くなった視細胞を消化する役目をもっています。
つまりiPS細胞由来の結膜色素シートを移植することで、加齢により衰えた細胞を再生することができるのです。まさに再生医療への応用が期待されているiPS細胞の利点をいかした手術といえるでしょう。

臨床試験その後

それから1年後、臨床手術1例目の被験者となった70代女性について、その後の経過が報告されました。それによると女性に合併症などの発生はなく、移植した色素細胞シートも所定の位置にとどまっており、術後の状態は良好とのことです。

今後、iPS細胞による加齢黄斑変性の治療はますます研究が盛んになることが予想されており、現在もiPS細胞由来の視細胞を含む『懸濁液(けんだくえき)』を病巣に注入し、生着させる治療法などの研究が進められています。
いずれにしろ、今後の再生医療に大きな一歩を進めた今回の移植手術の意義は大きく、根治治療の困難だった数多くの患者に大きな希望を与えています。

▼『加齢黄斑変性』については、こちらから
欧米では失明原因の第1位!日本人にも 増殖中の『加齢黄斑変性』ってどんな病気!?
中高年になると増える目の病気 『加齢黄班変性症』セルフチェック

【参考】
神戸新聞 – iPSから網膜細胞 世界初の移植手術実施 神戸
http://www.kobe-np.co.jp/news/iryou/201409/0007324118.shtml
株式会社ヘリオス – 加齢黄斑変性の治療方法開発
https://www.healios.co.jp/development/amd/
Logmi(ログミー) – iPS細胞がついに初の臨床試験へ! 担当医師が語る、”夢の技術”の現在
http://logmi.jp/15387

文/キネコ
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目の病気

いま、中高年に増えている黄斑疾患
『黄斑円孔』の症状と正しい治療法って?

いま、中高年に増えている黄斑疾患 <br />『黄斑円孔』の症状と正しい治療法って?

年を重ねていくと、目の状態にも変化が生まれます。加齢によって起こる目の病気は数多くありますが、そのうちの一つでもある『黄斑円孔(おうはんえんこう)』について、みなさんはご存知でしょうか? 今回は、この『黄斑円孔』についてまとめてみました。

黄斑円孔ってどの部分がどう変化するの?

『黄斑円孔』とは、眼底(眼球の内部の後面で網膜にある部分)の中心に位置する黄斑部の網膜に穴が空く病気です。といってもこれだけでは、いったい目のどこの場所に穴が空いて、どんな影響を及ぼすのかわかりづらいですよね。そこでまずは「黄斑(部)」について解説していきましょう。

この「黄斑」とは、網膜の中心部で視細胞が密着する場所のことです。『キサントフィル』という色素が豊富にあるため黄色をしており、周囲より少し凹んでいる中心窩(ちゅうしんか)を取り囲むように、直径1.5~2mmの範囲に存在しています。
人間はものを見ようとするとき、必ずこの黄斑にピントを合わせます。よって、ランドルト環などで表す視力の値とは、黄斑の働きを示しているということなのです。

▼視力やランドルト環について、詳しく知りたい方はこちら!
視力1.0はどんな基準で決まるの? 視力測定にまつわるおもしろい話

ちなみに、網膜は黄斑以外でも光を感じることができますが、少しでもずれてしまうと普通の視力でいう0.04程度にしかものを見ることができません。わかりやすく例えると、今この記事を読んでいるとき、大半の人は視野の中心で文字をとらえていると思います。しかし、読んでいる部分以外の離れた文字でも、なんとなくは認識できていますよね。これが黄斑以外の網膜による見え方です。

つまり、網膜に異常がなくても黄斑になんらかの障害が見られると、視力は著しく低下してしまうのです。そして、黄斑円孔になると、穴の大きさは直径0.5mm以下とわずかなものですが、黄斑は目のもっとも視力が鋭敏な部分であるため、大きなダメージを受けてしまうのです。

技術の進化とともに、黄斑円孔の手術が可能になった!

では、黄斑円孔の症状や原因、治療法などについてご紹介していきましょう。

■症状

ものがゆがんで見えることから始まります。他にも、視野の中心が暗く見える(すぼんで見える、吸い込まれるように見える)などの症状が挙げられます。

■原因

加齢による硝子体(しょうしたい)の変化が原因です。眼球の中には、硝子体というゼリー状組織が詰まっており、表面は硝子体皮質という膜で覆われています。正常な場合、硝子体は眼球に均一にありますが、加齢によって体積が縮小すると硝子体皮質は網膜からはがれ、そこにできる隙間には水分が置き換わります。
しかし癒着が強すぎて網膜からうまく剥がれないときに、黄斑に亀裂が入り、穴が開いてしまうことがあります。これが黄斑円孔の原因です。

■治療法

ひと昔前までは治療ができない病気でしたが、近年は手術によって円孔を閉鎖し、視力を取り戻すことができるようになりました。個人差はあるようですが、術後10日ほど経つと徐々に視力に変化が生まれ、黄斑の治癒とともにゆっくりと回復していきます。手術をすれば、再発はほとんどないといわれています。

50代以降に多く見られるという黄斑円孔ですが、サッカーや野球といったボールによる眼の打撲などで年齢を問わず起こるケースもあるようです。穴が開いてから時間が経ちすぎてしまうと、元の視力までは回復できない場合もあるため、「おかしいな」と思ったら、早めに医師に相談しましょう。

▼黄斑が原因で起こるその他の病気はこちら!
欧米では失明原因の第1位!日本人にも 増殖中の『加齢黄斑変性』ってどんな病気!?

【参考】
川本眼科‐黄斑(おうはん)って何?
http://www.kawamotoganka.com/tayori/477/
目と健康シリーズ‐特集:黄斑円孔・黄斑前膜
http://www.skk-health.net/me/20/
gooヘルスケア‐黄斑円孔の症状や原因・診断と治療方法
http://health.goo.ne.jp/medical/10A71200

文/よしだみすず
目ディア

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