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昔は針で眼球を突き刺していた!?医療の挑戦!白内障手術の歴史

昔は針で眼球を突き刺していた!?医療の挑戦!白内障手術の歴史

日本における白内障手術は年間約140万件行われており、医療現場の中でトップクラスの手術件数を誇っています。そんな白内障は人類の歴史とともに古くから続いてきた病気で、すでに紀元前から白内障の手術は行われていたそうです。

麻酔もメスもなかった時代は、果たしてどのような手術法だったのでしょうか?知られざる白内障手術の歴史に迫ります。

麻酔なしで眼球を針で突き刺す!室町時代の恐るべき白内障手術法

白内障とは、目の中でレンズの役割を果たす水晶体がにごる病気で、加齢による老人性白内障は80歳以上のほぼ全員がかかるといわれています。その歴史を紐解くと、白内障は紀元前の時点ですでに認識されていました。

白内障が記された文献の中でもっとも古い記録は、紀元前800年代。インド・ベンガル地方で暮らすススルタ医師が書いた『ススルタ大医典』という文献の中に、「その当時、白内障の手術が行われていた」と記されているそうです。

また、紀元前550年のエジプトの王族内でも白内障の手術が行われ、成功を収めたという記録も残っています。

白内障手術_02

日本に白内障手術が伝わってきたのは、室町時代初期にあたる1360年前後だといわれています。インドから中国経由でやってきたその手術法は「墜下法」と呼ばれ、「針で眼球を突き刺し、水晶体を後ろ側(硝子体内)に脱臼させる」という驚愕のものでした。

麻酔など存在しない時代ですから、失神するほどの壮絶な痛みだったと予想されます。また、消毒薬や抗生物質もないため、術後の感染症はかなりの確率で起こったはずです。これほどまでのリスクを冒して手術を受けても、当時の成功率はわずか30%前後でした。

それでもほかに治療法はなく、この恐ろしき墜下法は1800年代まで行われていたそうです。

世界初の水晶体摘出手術が行われたのはフランスだった

白内障手術_03

1700年以降、フランスでは目の解剖学の研究が盛んに行われ、白内障の仕組みが徐々に解明されていきます。

そして、1745年――歴史が動きます。マルセイユのサンテンスプリ病院にて、ジャックス・ダビエル医師が世界で初めて水晶体を摘出する白内障手術を行ったのです。

その方法は、「槍状のナイフで角膜を切って広げ、さらに水晶体の前嚢を切開してにごった部分を押し出す」というものでした。この手術法はヨーロッパ全土に広がり、19世紀には白内障の手術=水晶体の摘出術が主流の時代に。

それから約200年後の1949年、再び歴史が動きます。イギリスのハロルド・リドレー医師が、水晶体の代わりになる眼内レンズを発明したのです。

戦闘機の風防ガラスの破片がパイロットの目に入っても長い間炎症を起こさないことから、風防ガラスの材料であるPMMA(ポリメチルメタクリレート)という素材は目の中に入れても安全という発見につながり、眼内レンズが実用化されたのです。

さらに、アメリカのケルマン医師が超音波乳化吸引術を発明します。これは水晶体を超音波で砕き、吸引して取り除く手術法です。眼内レンズと超音波乳化吸引術の誕生によって、白内障手術は飛躍的な成長を遂げるのです。

折りたたみ式眼内レンズの誕生で白内障手術はより安全なものに

白内障手術_04

前出の超音波乳化吸引術は、日本では1980年以降に広まります。

現在の手術法はより洗練され、水晶体嚢と呼ばれる水晶体を包んでいる透明な袋の前部分を丸くくりぬき、その袋の中のにごった水晶体を超音波で砕き、吸引して取り除きます。そして、残った袋の中に度を合わせた眼内レンズを挿入すれば手術は完了です。

かつては直径6mmの眼内レンズを入れるため、角膜は最低でも6mm以上切開する必要がありました。しかし、折りたたみ式の眼内レンズの誕生によって、現在は2mm程度の切開で済むようになりました。

傷口が小さくなったことで感染症の予防効果が高まり、術後に起こりやすいといわれていた乱視の発生率を大幅に抑えることにも成功したのです。目に対する侵襲が激減し、白内障手術は短時間ながら、非常に安全に行えるようになりました。

現在の白内障手術は、すでに完成の域に達しつつあります。単に白内障を治すのではなく、近視や遠視、乱視などの屈折異常を同時に治療し、「理想の新しい目」を手に入れることができるのです。

白内障の手術が安全かつ短時間に行えるようになったことで、「白内障手術は簡単である」という誤解が広がっていますが、決して簡単な手術ではありません。

先人たちの涙ぐましい努力と医療技術の進歩によって快適性が達成されたのであり、繊細な手術であることに今も変わりはないのです。

▼詳しく知りたい!白内障に関する記事はコチラ
目のトラブルについて~白内障~(ロート製薬 商品情報サイト)
白内障の手術でメガネいらずの目になれる?白内障治療のホントを徹底解説
白内障手術の新たな選択肢 『多焦点眼内レンズ』ってどんなもの?
光がまぶしい!と感じる原因って?知っておきたい目の病気まとめ

〈参考〉
白内障手術の歴史|白内障の治療・手術|白内障と白内障手術
http://www.asahi-net.or.jp/~pd2k-nim/surgery/history.html
院長コラム 森井眼科医院
http://morii-ganka.jp/column/?p=43
特別講演 白内障手術の歴史 三島済一
http://www.med.teikyo-u.ac.jp/~ortho/med/pdf/94081490.pdf
白内障の眼内レンズの歴史 メディカルノート
https://medicalnote.jp/contents/160404-016-YO
白内障手術の歴史と発展 白内障手術では総合的な「満足度」が重要になる メディカルノート
https://medicalnote.jp/contents/160608-007-SZ
講演(1)白内障…高齢化社会で増加、年100万件手術 yomiDr. – ヨミドクター(読売新聞)
https://yomidr.yomiuri.co.jp/article/20110328-OYTEW59139/

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目の病気

幻想的な数々の絵画に隠されたヒミツ あの天才画家は実は白内障だった!?

幻想的な数々の絵画に隠されたヒミツ あの天才画家は実は白内障だった!?

誰もが知る天才画家ジャン・クロード・モネ。『睡蓮』などをはじめとした、彼が描き出す幻想的な風景は今なお人々の心を捉えて離しません。しかし、そんな天才画家が生み出した数々の傑作の背景には、彼の目とその病気も大いに関係していたことをご存知でしょうか? モネの作品と、彼の抱えていた“目”に関する苦悩をひもといてみましょう。

モネの絵で知る白内障で見える世界

モネは、1912年(72歳)の頃から白内障をわずらっていたそうです。両目とも白内障の症状が出ていたようですが、特に右目が深刻な状態で、もやがかかったような状態で色覚にも異常をきたしていたといわれています。
では、白内障の方にとって、景色はどんな風に見えているのでしょうか? それを知る手段として、モネの絵をみてみましょう。

画像2

この二つの絵は1900年(60歳)の時と、1923年(83歳)の時とモネが時を経て同じ場所を描いた作品です。見え方に大きな差があるのは一目瞭然です。細部まで描きこまれ、輪郭がはっきりとして青みが感じられる1900年の絵にくらべて、1923年のものでは全体の輪郭がぼやけ黄味がかっています。

光の浸透率と水晶体の混濁による見え方の変化

白内障にかかると輪郭がぼやける原因は、光がさえぎられて網膜まで達しないことにあります。また、混濁した水晶体には、もともと波長の短い青系の光がとおらなくなり、網膜まで達する色が赤、黄系の色のみになります。そのために白内障が進んだモネの絵も、全体的に黄味がかった色調のものへと変化していたのです。
しかし、人は自らの視界の変化に徐々に慣れていくため、自分の見ている色彩の変化にはあまり気が付かないのだそうです。白内障の手術を受けて初めて、景色が青白く見えるということも多いようです。

色彩を取り戻したモネと作品

最終的にモネは白内障の手術を受け、本来の色彩をとりもどしたそうですが、白内障を患っていた10年間の作品を投げ捨てさえした、ともいわれています。画家にとって色彩と表現は作品の命とも呼べるもの。本来の眼力を取り戻したモネにとっては許しがたいものだったのかもしれませんね。また、術後は逆に「黄色と青色が強く見えすぎる」と、白内障をわずらっていたときに見えていた世界とのギャップにも苦しんでいたようです。

しかし私たちにとって、彼が白内障で苦しんでいた期間の作品は、より幻想的で蠱惑的にみえる部分すらあります。目に深刻なトラブルを抱えながらも数々の名画を残し続けたモネ。その苦悩があったからこそ、私たちにさらなる感動を与えてくれるのかもしれません。

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【参考】
東京逓信病院-白内障ではどのように見える?
http://www.hospital.japanpost.jp/tokyo/shinryo/ganka/hakunaisyo03.html
在日フランス大使館 「モネ、印象派の目」展
http://bit.ly/1RTjy2F

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