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白内障手術の新たな選択肢 『多焦点眼内レンズ』ってどんなもの?

白内障手術の新たな選択肢 『多焦点眼内レンズ』ってどんなもの?

目の中の水晶体が白くにごることで引き起こされる白内障ですが、進行した場合の治療法は手術しかありません。
これまで手術後はメガネが必要とされた白内障ですが、最近では、『多焦点眼内レンズ』と呼ばれる人工レンズも使用されるようになってきました。
多焦点眼内レンズは、他の眼内レンズとはどう異なるのでしょうか?

その前に、白内障について知っておきましょう!

瞳の中には「水晶体」という、いわばカメラの凸レンズの働きをする組織があります。この水晶体を構成するタンパク質の内、実に98%が“クリスタリン”というタンパク質で満たされています。
白内障は、このクリスタリンタンパクを構成するアミノ酸が何らかの原因で白く混濁することで引き起こされます。
その原因はいくつか考えられていますが、もっとも多く認められるのが、加齢による酸化ストレスです。
これを「加齢性白内障」と呼びますが、早い人では40代から発症し、80歳を超えるとほとんどの人が白内障の状態になるといわれています。
ところが、進行した白内障を根治する治療は見つかっていません。そのため、にごった水晶体を取り除き、「眼内レンズ」と呼ばれる人工のレンズを水晶体の代わりに挿入する手術がおこなわれているのです。

進行した白内障の、ほぼ唯一の治療が「眼内レンズ」

多焦点眼内レンズ_02
出典: Look after your eyes

白内障手術で使用される眼内レンズは、これまでは「単焦点眼内レンズ」と呼ばれるものが一般的でした。また、眼内レンズは度数を入れることができるため、白内障の手術を受けることで近視や遠視、乱視などの矯正がおこなえるというメリットもあったのです。

しかしその一方で、単焦点レンズは焦点(ピント)の距離を一点に定めるため、術後もメガネが必要になるという欠点がありました。
例えば、ピントの合う距離を遠くに定めた場合には、手元をクリアに見るためのメガネが必要になってきます。つまり完全な老眼状態になってしまうのです。
しかし近年になって、複数の距離に焦点を合わせることのできる眼内レンズが使用されるようになってきました。それが「多焦点眼内レンズ」と呼ばれるレンズです。

多焦点眼内レンズとは、簡単にいえば眼内レンズに遠近両用メガネと類似した機能を持たせたレンズのことです。中でも国内で使用されるレンズのほとんどが「回折型多焦点眼内レンズ」と呼ばれるタイプのものです。
回折型眼内レンズは同心円状の階段構造を持っており、それぞれの段差を通じて、光の波面が干渉し合う位置でピントが合う構造になっています。
これは“回折(かいせつ)”と呼ばれる現象を利用したもので、光を2つにわけることで入射光を配分し、遠近の両方にピントを合わせることができるのです。
また、日本では未承認ですが中間距離にもピントを合わせることのできる「三焦点眼内レンズ」も開発されています。

多焦点眼内レンズのメリットとデメリットを知っておこう!

多焦点眼内レンズのメリットは、なんといっても単焦点レンズでは取り戻すことのできなかった、広域での被写界深度(ピントが合う距離)を回復させることができる点です。
これにより、メガネへの依存度をぐんと減らすことが可能になります。

ただし、よくいわれるように「完全にメガネが必要ではなくなる」わけではありません。患者との適応度にもよりますが、多焦点眼内レンズにも見えにくい距離は存在しており、必要に応じてメガネの装用が必要になることがあります。
また、レンズの構造が複雑なため、夜間のヘッドライトやネオンなどがにじんで見える“ハロ・グレア現象”が引き起こされることや、コントラスト感度の低下が起こるケースなども報告されています。
例えば、夜間に車の運転をされる方には多焦点眼内レンズは適さないことが多いですし、手元の細かな作業をする方には単焦点眼内レンズの方が適している場合もあります。
また、現在も先進医療としての扱いであるため、費用が高額になることも見逃せない点です。

白内障は加齢にともない、誰にでもかかる可能性のある眼疾患です。
どちらのレンズが適しているかは、あくまでも生活スタイル次第ですから、専門医としっかりと相談をした上で最適なレンズを選ぶようにしましょう!

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【参考】
日本眼科医会 – 白内障
http://www.nichigan.or.jp/public/disease/suisho_hakunai.jsp
東京都老人総合研究所 – トピックス・白内障は予防できるようになるか
http://www.tmig.or.jp/J_TMIG/j_topics/topics_191_1.html
多根記念眼科病院 – 多焦点眼内レンズ
http://www.tanemem.com/chiryo/other/tashouten/index.html
東京歯科大学水道橋病院 眼科 – 多焦点眼内レンズ
http://www.sh-eye.tdc.ac.jp/multifocal/

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目の病気

幻想的な数々の絵画に隠されたヒミツ あの天才画家は実は白内障だった!?

幻想的な数々の絵画に隠されたヒミツ あの天才画家は実は白内障だった!?

誰もが知る天才画家ジャン・クロード・モネ。『睡蓮』などをはじめとした、彼が描き出す幻想的な風景は今なお人々の心を捉えて離しません。しかし、そんな天才画家が生み出した数々の傑作の背景には、彼の目とその病気も大いに関係していたことをご存知でしょうか? モネの作品と、彼の抱えていた“目”に関する苦悩をひもといてみましょう。

モネの絵で知る白内障で見える世界

モネは、1912年(72歳)の頃から白内障をわずらっていたそうです。両目とも白内障の症状が出ていたようですが、特に右目が深刻な状態で、もやがかかったような状態で色覚にも異常をきたしていたといわれています。
では、白内障の方にとって、景色はどんな風に見えているのでしょうか? それを知る手段として、モネの絵をみてみましょう。

画像2

この二つの絵は1900年(60歳)の時と、1923年(83歳)の時とモネが時を経て同じ場所を描いた作品です。見え方に大きな差があるのは一目瞭然です。細部まで描きこまれ、輪郭がはっきりとして青みが感じられる1900年の絵にくらべて、1923年のものでは全体の輪郭がぼやけ黄味がかっています。

光の浸透率と水晶体の混濁による見え方の変化

白内障にかかると輪郭がぼやける原因は、光がさえぎられて網膜まで達しないことにあります。また、混濁した水晶体には、もともと波長の短い青系の光がとおらなくなり、網膜まで達する色が赤、黄系の色のみになります。そのために白内障が進んだモネの絵も、全体的に黄味がかった色調のものへと変化していたのです。
しかし、人は自らの視界の変化に徐々に慣れていくため、自分の見ている色彩の変化にはあまり気が付かないのだそうです。白内障の手術を受けて初めて、景色が青白く見えるということも多いようです。

色彩を取り戻したモネと作品

最終的にモネは白内障の手術を受け、本来の色彩をとりもどしたそうですが、白内障を患っていた10年間の作品を投げ捨てさえした、ともいわれています。画家にとって色彩と表現は作品の命とも呼べるもの。本来の眼力を取り戻したモネにとっては許しがたいものだったのかもしれませんね。また、術後は逆に「黄色と青色が強く見えすぎる」と、白内障をわずらっていたときに見えていた世界とのギャップにも苦しんでいたようです。

しかし私たちにとって、彼が白内障で苦しんでいた期間の作品は、より幻想的で蠱惑的にみえる部分すらあります。目に深刻なトラブルを抱えながらも数々の名画を残し続けたモネ。その苦悩があったからこそ、私たちにさらなる感動を与えてくれるのかもしれません。

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【参考】
東京逓信病院-白内障ではどのように見える?
http://www.hospital.japanpost.jp/tokyo/shinryo/ganka/hakunaisyo03.html
在日フランス大使館 「モネ、印象派の目」展
http://bit.ly/1RTjy2F

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