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働き盛りの目を襲う! 男性に多い『中心性漿液性網脈絡膜症』とは?

働き盛りの目を襲う! 男性に多い『中心性漿液性網脈絡膜症』とは?

今回取り上げる『中心性漿液性網脈絡膜症(ちゅうしんせい・しょうえきせい・もうみゃくらくまくしょう)』という病気ですが、初めて耳にする人も多いのではないでしょうか?
これは、働き盛りにある30〜50代の男性に多く発症し、見え方に異常をきたす病です。なぜ、働き盛りに発症しやすいのか、どんな症状が起こるのか、実際にこの病気の治療もおこなわれている眼科医・岡野先生にうかがってきました!

網膜の中心部「黄斑」に水ぶくれが発生!見え方に異常をきたす病気

光として取り入れた情報を映像として結び、光を電気信号に変え、脳に伝達する働きを担うのが「網膜」です。その中心部、最も視力に関係する「黄斑(おうはん)」という部分に水ぶくれが生じるのが、『中心性漿液性網脈絡膜症』です。
では、どのようにして、黄斑にむくみが生じるのでしょうか?
網膜は、10の組織が層になって形成されており、最も外側にあるのが「網膜色素上皮層(もうまくしきそじょうひ)」です。網膜色素上皮層は、非常に多くの血管が通っている「脈絡膜(みゃくらくまく)」に面し、ここから供給される酸素や栄養分を網膜内部に届けたり、老廃物を排出したりする働きをしています。この機能が低下すると不要な水分まで、網膜の内部に侵入してしまい、水ぶくれが起こるのです。

ゆがんで見えたり、中心が暗く見えたり……視力低下の可能性も!

網膜の内部に不要な水がたまれば、外界から取り入れた光の感知がスムーズにいかなくなり、見え方に支障をきたします。

中心性漿液性網膜絡症_02中心性漿液性網膜絡症_03
出典:スマイル眼科クリニック『中心性漿液性網脈絡膜症』

主に「モノがゆがんで見える」「視界の中心部が暗く見える(中心暗点)」といった症状があげられますが、網膜の中心部「黄斑」は、色を識別する機能も担っているため、「視界が黄色っぽく見えたり、青っぽく見えたりする」こともあるそうです。
また、水ぶくれによって網膜の形が変形すると、モノをはっきり見るためのピント調節にも支障をきたします。水ぶくれの状態が長く続いたり、再発を繰り返したりすると、視力が低下してしまうこともあるのです。

日ごろのストレスと喫煙が原因?働き盛りの男性に多く発症するワケ

こうした『中心性漿液性網脈絡膜症』ですが、その原因は明らかになっていません。しかし循環機能のトラブルであることから、血行不良同様、原因は「ストレス」「喫煙」にあるのではないかといわれています。
30〜50代の男性に多く発症するのも、この年代は社会でも責任ある立場につくことが多く、また、男性の喫煙率は、女性と比べて高い傾向にあることが関係していると考えられています。

中心性漿液性網膜絡症_04

ただ、この病気は3〜6か月ほどで治ることが多いようです。しかし、1度発症すると再発するケースも少なくありません。前述したように、何度も再発を繰り返すと視力が低下することもあります。

治療法はストレスを取り除くこと!転職で再発が止まったケースも

頻繁に再発を繰り返す場合、レーザー治療をすることもあるようですが、副作用のリスクを考え、施術に踏み切ることは非常にまれだそうです。そのため、経過観察をしながら治癒を待つのが一般的です。
ストレスや喫煙といった要素を取り除くため、岡野先生が院長を務めるスマイル眼科クリニックでは、症状に応じて血管強化剤や循環改善薬の処方に加え、体内の無駄な水分を排出する「柴苓湯(さいれいとう)」や「五苓散(ごれいさん)」、またストレスを緩和させる「抑肝散(よくかんさん)」や「黄連解毒湯(おうれんげどくとう)」など、漢方の処方をおこなっているそうです。

岡野先生によると、何度も再発を繰り返していたが、職場が変わったことをきっかけに、症状が現れなくなった患者さんもいるそうです。
転職は難しいにせよ、たまにはゆっくりと休養を取り、心を休めることが治療や予防につながります。また、喫煙は体全体の健康にも影響を与えますから、こちらも控えるようにしましょう。

▼ストレスによる目の異常や解消法については、コチラの記事もオススメ!
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取材・文/大谷享子
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iPS細胞で目の治療!?
『加齢黄斑変性』に希望を与える再生医療とは?

iPS細胞で目の治療!? <br />『加齢黄斑変性』に希望を与える再生医療とは?

山中伸弥博士のノーベル賞受賞により、一気に注目を集めたiPS細胞。そのiPS細胞を使った目の手術がおこなわれたことをご存じでしょうか?
iPS細胞を使った臨床研究として世界初の事例となったのは、欧米での失明率1位の難病『加齢黄斑変性(かれいおうはんへんせい)』の手術でした。今後の進展が待たれるiPS細胞の研究を、手術内容を交えてご紹介します。

『加齢黄斑変性』ってどんな病?

『黄斑』とは網膜の中心部にある1.2mmから2mmほどの小さな部位で、この部位には色覚の基礎となる錐体細胞が高密度に集まっています。これらの黄斑組織は固視点からの光が集まる部位でもあり、『キサントフィル』という黄色の色素が集まることから『黄斑』という名前がつけられました。
その中心に当たる組織は「中心窩」と呼ばれており、視覚的な情報をあつかうすべての活動において、もっとも重要な領域であるといわれています。中心窩を含む黄斑は、文字通り網膜の中心に位置する重要な“コア”といえるのです。

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出典:MacuHealth

『加齢黄斑変性』とは、加齢などの要因によって黄斑がダメージを受け、さまざまな視覚異常を引き起こす病気のことです。黄斑の変性によって視野の中心が歪む、暗くなる、欠けるなどの症状がおこり、最悪の場合は失明にいたります。
なお、『加齢黄斑変性』による中途失明率は冒頭に記したように欧米での第1位、日本では第4位にとどまりますが、食生活や生活習慣の変化により、近年になって患者数が高まっている傾向にあるようです。

再生医療による『加齢黄斑変性』への挑戦

高橋政代博士をプロジェクトリーダーに、理化学研究所と先端医療振興財団の共同により世界初の臨床研究がおこなわれたのは、昨年9月12日のこと。移植1例目となる手術を受けたのは、既存の薬物治療などでは効果が確認できない重度の『滲出(しんしゅつ)型加齢黄斑変性』を患う70代の女性でした。

この女性の場合、腕から直径4mmの皮膚を採取し、6種類の遺伝子を組み入れる方法でiPS細胞を作製。さらに特殊なたんぱく質を加えることで網膜組織の一種『網膜色素上皮』に変化させ、およそ10カ月の培養期間を経てシート状の移植組織を完成させました。
こうしてできあがった「網膜色素のシート」を長さ3mm、幅1.3mmの短冊形に加工し、病巣に移植するというのが、この時おこなわれた手術です。
ではなぜ、黄斑の病気である加齢黄斑変性の患者に『網膜色素上皮』を移植することになるのでしょうか?

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出典:Taylor Retina Center – Macular Degeneration

“ウエット型”と呼ばれる『滲出型加齢黄斑変性』の場合、その多くが色素上皮の下にある「脈絡膜」から発生した新生血管によって引き起こされます。
新しく発生したこの血管を『脈絡膜新生血管』と呼びますが、もちろん網膜の下に不要な血管が生じた病態は正常ではありません。この新生血管の発生の原因が、加齢による網膜色素上皮の機能低下によるものだと考えられているのです。

滲出型加齢黄斑変性は、この新生血管からの出血や滲出物により、視細胞機能がダメージを受けることによって起こります。したがって、滲出型加齢黄斑変性の治療としておこなわれる治療法の多くが、新生血管の拡大を抑えることを目的としたものとなります。いずれも視力の維持や病の進行を抑えることはできても、根治させることに有効な治療法とはいえないのが現状です。

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出典:The Japan Times – Japanese government panel OKs world’s first clinical research using iPS cells

そこで臨床研究としておこなわれたのが、異常をともなう新生血管を取り除き、代わりに培養した結膜色素のシートを移植するという手術です。
じつは、結膜色素上皮細胞は視細胞のメンテナンスにとって重要な役割を持っており、新生血管の原因となる、古くなった視細胞を消化する役目をもっています。
つまりiPS細胞由来の結膜色素シートを移植することで、加齢により衰えた細胞を再生することができるのです。まさに再生医療への応用が期待されているiPS細胞の利点をいかした手術といえるでしょう。

臨床試験その後

それから1年後、臨床手術1例目の被験者となった70代女性について、その後の経過が報告されました。それによると女性に合併症などの発生はなく、移植した色素細胞シートも所定の位置にとどまっており、術後の状態は良好とのことです。

今後、iPS細胞による加齢黄斑変性の治療はますます研究が盛んになることが予想されており、現在もiPS細胞由来の視細胞を含む『懸濁液(けんだくえき)』を病巣に注入し、生着させる治療法などの研究が進められています。
いずれにしろ、今後の再生医療に大きな一歩を進めた今回の移植手術の意義は大きく、根治治療の困難だった数多くの患者に大きな希望を与えています。

▼『加齢黄斑変性』については、こちらから
欧米では失明原因の第1位!日本人にも 増殖中の『加齢黄斑変性』ってどんな病気!?
中高年になると増える目の病気 『加齢黄班変性症』セルフチェック

【参考】
神戸新聞 – iPSから網膜細胞 世界初の移植手術実施 神戸
http://www.kobe-np.co.jp/news/iryou/201409/0007324118.shtml
株式会社ヘリオス – 加齢黄斑変性の治療方法開発
https://www.healios.co.jp/development/amd/
Logmi(ログミー) – iPS細胞がついに初の臨床試験へ! 担当医師が語る、”夢の技術”の現在
http://logmi.jp/15387

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