• HOME
  • 専門家
  • 自覚症状なく進む!失明の恐れもある『糖尿病網膜症』とは?
目の病気

自覚症状なく進む!失明の恐れもある『糖尿病網膜症』とは?

自覚症状なく進む!失明の恐れもある『糖尿病網膜症』とは?

2012年に発表された厚生労働省の調査結果によれば、国内に約950万人いるとされる『糖尿病』ですが、実は、目にも影響を及ぼします。糖尿病を原因とする合併症の1つ『糖尿病網膜症(とうにょうびょうもうまくしょう)』は、日本における失明原因のトップと言っても過言ではない病です。
そこで今回は『糖尿病網膜症』について、どんな病気なのかから、自覚症状や予防法まで、ご自身のクリニックでも最先端の治療をおこなっている眼科医・岡野先生に聞いてきました。

目の病気を知る前に!まずは生活習慣病『糖尿病』の基礎知識から

そもそも『糖尿病網膜症』の原因となる『糖尿病』とは、どんな病気なのでしょうか?
人間は活動するために必要な燃料を飲食から取り入れます。この燃料はブドウ糖に変換され、血流にのって体のあらゆる場所に届けられますが、ブドウ糖の使用配分をコントロールしているのが「インスリン」です。
インスリンとはそもそも体内でつくられるホルモンの一種で、ブドウ糖を必要な場所に届けたり、不要であれば体内に溜めておいたりと、燃料のコントロールをする役目を担っています。

糖尿病は、このインスリンによる血糖のコントロール機能が異常をきたした状態です。正常ではインスリンは食前〜食後までなるべく一定の血糖値を保てるように働きます。
ところが、インスリンによる制御が不能になると食後すぐに異常な高血糖が出現し、糖は貯蔵されないまま全身を巡ります。そして食後しばらくすると今度は異常なほどの低血糖になります。この異常な血糖値の変動によりさまざまな症状が現れます。
例えば、糖尿病により、ときに足の切断に迫られるのは、足に通った血管に異常が起こったことで必要な栄養分が届けられず、細胞が壊死ししてしまうからなのです。

糖尿病が引き起こす血管の異常!『糖尿病網膜症』も血管に起因する

『糖尿病網膜症』も、血管の異常から引き起こされます。目の内部にも無数の血管が通っていますが、病名にもある『網膜』に通る血管は、とりわけ細いことが特徴です。
インスリンによる制御がきかず、必要とされないブドウ糖まで、一気に流れ出すことで網膜を通る細い血管が傷つき、血中に含まれる水分が漏れ出したり、ときには血液そのものが漏れ出したりしてしまいます。

さらに症状が進行すると十分な血流が確保できず「血液が足りないから、もっと血液を送れ!」という指令が出され、目の内部に「新生血管(しんせいけっかん)」と呼ばれる突貫工事の血管がつくられます。
しかし残念ながら、この血管は急作りのためきちんと機能しません。動脈と静脈を間違えてつなげてしまって、かえって血流が減少したり、急作りでもろいので血液が網膜にあふれてしまったりします。

糖尿病網膜症_02_03
出典:Community Eye Health Journal『Diabetic retinopathy (DR): management and referral』
(※)左が正常、右が「新生血管」がつくられた状態。明らかに血管の本数が多くなっている

3段階に分けられる症状!しかし自覚症状があるのは最終段階から?

では、血管に生じる水分や血液の漏れ、さらに「新生血管」がつくられることによる血液の流れのショートは、どのような症状として現れるのでしょうか?
『糖尿病網膜症』には大きく3つの段階があり、進行が浅い『単純糖尿病網膜症』は、血管から水分や血液が軽度に漏れ出ている状態で、自覚症状がないことがほとんどです。

そこから一歩進行すると『前増殖糖尿病網膜症』と診断されます。これが前述した「新生血管」がつくり出された状態です。
血管から漏れ出た成分が目の内部に影をつくるため、目のかすみを感じるようになりますが、見え方に大きな変化が生じる訳ではないため、違和感を覚えて眼科を受診する方がいる一方、放置してしまう方も少なくないようです。

糖尿病網膜症_04
出典:Eye Anatomy CE – Associated Structures ; Aqueous & Vitreous
(※Vitreous Body:硝子体)

そして3つ目の段階が『増殖糖尿病網膜症』です。
病名にもある「網膜」とは、光として外界から得た情報を電気信号に変え、脳に伝達する重要な役目を担っていますが、血管から漏れた成分が多くなると網膜の形そのものが圧迫され、変形してしまい、モノがゆがんで見えるようになります。
また、よかれと思ってつくり出される新生血管が、目の中央部にある「硝子体」にも浸食を始めます。硝子体に伸びた新生血管からも出血を始めると、血液による赤黒い影が視界をさえぎり、いよいよ「見え方がおかしい」と自覚症状に至るのです。

目の検診に行っていますか?見え方の違和感から『糖尿病』に気付く人も

このように『糖尿病網膜症』の怖さは、初期段階では自覚が難しい点です。
症状が進行した3段階目になっても放置しておけば、硝子体に伸びた血管の周囲に増殖膜が形成され、収縮した増殖膜によって「網膜」が引っぱられて剥がれる『網膜剥離』や、防水の流出路に出来た新生血管によって眼圧が上昇し、神経を圧迫して傷つける『緑内障』を併発する恐れもあります。そうして、失明の危険を引き起こすのです。

では、どうすれば、この病気を予防することができるのでしょうか?
岡野先生が院長を務めるスマイル眼科クリニックでは、自身が糖尿病であることを知らずに眼科を受診し、眼科で血糖値の計測をして初めて『糖尿病』の可能性に気付く方もいるそうです。

医学の進歩から画期的な薬の開発も!しかし日常生活の見直しが第一

以前、『緑内障』にまつわる記事でお伝えした通り、 <それって『緑内障』かも!うっかりミスが伝える危険のシグナル> 人間は目だけで見ているだけではないため、多少の見え方の違和感では、異常に気付くことができません。そのため早期に病気を発見するためには、定期検診が欠かせません。しかし、糖尿病を自覚している人でさえ、気付きにくいのが糖尿病網膜症です。

現在、網膜に通る血管から成分の漏れを防ぐ「VEGF阻害薬」という薬剤が開発され、これを目に注射することで、病気の進行抑制に大きく貢献しているそうですが、糖尿病と診断された以上、見え方に異常を感じなくとも、定期的に眼科を受診することが重要となります。

またそれ以前に、糖尿病にかからないため、暴飲暴食や過度の揚げ物や甘いものの摂取を控え、適度な運動を日常化することも言うまでもなく大切です。全身はもちろん、目の健康を守るためにも、食生活や生活リズムに気を付けましょう!

▼「失明の恐れがある目の病気」については、コチラの記事もチェック!
欧米では失明原因の第1位!日本人にも増殖中の『加齢黄斑変性』ってどんな病気!?

ボクサーだけじゃない!本当は誰でもなる可能性のある『網膜剥離』

治療困難な遺伝性疾患! 『網膜色素変性症』ってどんな病気?

洗剤やパーマ液が目に入った!『化学眼外傷』の正しい対処法って?

中高年になると増える目の病気『加齢黄班変性症』セルフチェック

それって『緑内障』かも!うっかりミスが伝える危険のシグナル

取材・文/大谷享子
目ディア

この記事が気に入ったら
いいね!してね♪

目の病気

目の検診、行っていますか?眼科医が指摘する「なんとなくの不調」を放置してはいけないワケ

目の検診、行っていますか?眼科医が指摘する「なんとなくの不調」を放置してはいけないワケ

10月10日は「目の愛護デー」! 長く健康な目を維持するため、今一度、その大切さについて考える日です。
そこで大切なのが、まずは眼科に足を運び、自分の目の状態を知ることです。「なんとなくかゆみを感じる」、「なんとなく見えづらい……」など、こうした「なんとなく」を放っておくと、症状が悪化してしまう場合も。今回は、多くの症例を知る眼科医・岡野敬先生に、油断してはいけないワケについて教えてもらいました!

外側からは見えないことがいっぱい!眼科だから調べられること

体について、自分で認識できるのは痛い、かゆい、なんとなく調子が優れないなど、非常に感覚的なことばかりです。自分の体がどんな状況にあり、不調をうったえているのかは、意外と自分ではわからないもの。目も体の一部ですから、自分の目がどんな状態にあるかをきちんと知るには、やはり医師の力を借りることが重要です。

規模や設備によっても異なりますが、眼科に行けば、下記のような検査を受けることができます。

◆視力検査

近くが、もしくは遠くが、どれくらい見えるのかという基本的な視力の他、対象物にピントを合わせる力や、曇った場所や暗所などの悪条件で、どれほど見る力があるのかも調べられます。さらに詳しく、動体視力や立体感をどれだけ感じられるかをさす深視力を調べることも可能です。

◆視野検査

正常な状態で持っているべき視野に、欠損がないかを調べる検査です。この検査で欠損が見受けられれば、緑内障や網膜剥離などの疾患が疑われます。

◆眼圧検査

眼球の内部を満たしている水分・房水(ぼうすい)によってかかる圧力を調べる検査です。房水の供給バランスが崩れると眼圧が高まり、周辺の神経が圧迫され、視野の欠損や、いずれは緑内障へと進行するおそれがあります。

◆眼底検査

眼底、つまり網膜や硝子体、視神経乳頭など多くの重要組織がある眼球内の底(奥)を診る検査です。最新機器を使えば、その内部を断層として見ることができ、将来、緑内障にかかる可能性が高いかどうかまで、解析できるようになってきています。

◆細隙灯顕微鏡検査(さいげきとうけんびきょうけんさ)

細隙灯(さいげきとう)と呼ばれる拡大鏡から発される反射光により、眼球の内部や裏側を診る検査です。まぶたの状態から角膜、結膜、水晶体など、多くの組織が診られるため、眼科での基本検査の一つに挙げられます。

これらの検査をいっきに受けるには?目に特化した「眼ドック」も

上記に挙げたほか、眼科では涙の量を計測する「シルマーテスト」や、メガネやコンタクトレンズなど、視力補正用器具の度数が適正かどうかを調べる「レッドグリーンテスト」などがおこなわれています。ただし、これらの検査を一度に受けるのは、時間的にも料金的にも難しい場合が多いでしょう。

そこで、目のための定期検診として上げられるのが「眼ドック」です。医院の規模や設備によって、検査項目はさまざまですが、上記に挙げたような検査は、ほとんどが組み込まれているようです。
また、体全体を調べる「人間ドック」においても、視力検査、眼圧検査、眼底検査は、基本項目に含まれているようです。

画像2

ただし眼ドックにしても人間ドックにしても、基本的な検査でしかありません。例えば、会社の健康診断でもほとんどの場合、視力検査が含まれていますが、単に数値を計測するだけにでは、目に潜む疾患を知るには不十分でしょう。
検査の結果、視力が0.8あったとしても、そこから一歩踏み込み、視力矯正をすることで、1.2まで改善するのか、それとも0.8に止まったままなのかを知ることで、はじめて「これは何か疾患が隠れているかもしれない」といった気づきが生まれるのです。

目の疾患は気づきづらい!だからこそ、まずは自分を疑うこと

では、どうすればいいのでしょうか? まずは、どんなささいなことであれ、自分の感じている症状に、危機感を持つことです。

急激な視力の低下や、明らかに見て取れる充血や腫れ、我慢できないほどの痛みであれば、「これは何かある」と眼科を受診しますが、そうでない場合、「なんとなく調子が悪いだけ」と、放置してしまう方が少なくありません。

以前、緑内障にまつわる『目ディア』の記事<「それって『緑内障』かも!うっかりミスが伝える危険のシグナル」>でもお伝えしましたが、私たちは単に、目だけでものを見ているのではありません。
例えば日常、繰り返し行う動作などは、その場面の一つ一つを脳が記憶し、たとえ視野の一部が欠損していたとしても、脳に刻まれた記憶によって、欠けた視野が補われます。そのため、「なんとなく見えづらさを感じるようになった」「なんとなく手元が狂うことが多くなった」といった症状を放置した結果、緑内障を進行させることにもなるのです。

疑いを感じたら、ささいなことでも眼科へ!危機感こそ“目の愛護”

眼科は、目の病気のためだけにある場所ではありません。ささいな症状や病気もすべて含め、「快適な見えるサポート」をおこなってくれる場所です。ですから、「医者に行く程度ではないな」などと思わず、少しでも違和感を覚えることがあれば、眼科を受診することが大切です。

また、「健康診断やドックの検査だけでは不十分」ともお話ししましたが、そうした検査を受けるに越したことはありません。なぜなら、たとえ視力検査だけだったとしても、そこからわかる疾患も多くあるからです。

画像3

そして、以前よりも視力が低下していたら、生活に支障がなくとも、眼科に相談してみてください。
緑内障や白内障といった疾患から視力が低下している可能性もありますし、気づかないうちにものもらいができており、その腫れが眼球を圧迫。角膜の形が変形してしまい、乱視が進行しているケースもあります。
また最近では、10年も前につくったメガネを、そのままかけ続けている方も少なくありません。何の疾患がなくとも、受診をきっかけに、現状に適した矯正視力を導くことができれば、放置しがちな眼精疲労の症状が癒えるきっかけにもなるのです。

▼眼科で受けられる検査については
目の検査は『視力検査』だけじゃない!知らなかった目に関する『○○検査』

▼緑内障については
それって『緑内障』かも!うっかりミスが伝える危険のシグナル
眼圧を下げるインプラント。緑内障の最新治療『チューブシャント手術』ってどんなもの?

取材・文/大谷享子
目ディア

この記事が気に入ったら
いいね!してね♪

関連記事

RELATION POST

  • Amazon ロート製薬
  • ロートV5粒
  • ロートVアクティブ
  • ロートV11 目を酷使する人のつらい疲れ目に。
目ディアの最新情報をチェック!
  • 目ディア facebook
  • 目ディア Twitter
  • 目ディア RSS
ページ上部へ