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見えない世界で見えるものとは? 視覚障がい者の美術鑑賞

見えない世界で見えるものとは? 視覚障がい者の美術鑑賞

「目が不自由な人間は美術鑑賞を楽しむことはできない」、そう思い込んでいませんか? 世界各国で視覚障がい者を対象におこなわれている、美術鑑賞の新しい取り組みについてご紹介します。

健常者の言葉からイメージを膨らませ、作品を想像して楽しむ美術鑑賞ツアー

これまで美術館から遠ざかっていた視覚障がい者を対象とした、美術鑑賞ツアーが話題を集めています。

埼玉県が主催する『視覚障がい者と楽しむ美術作品鑑賞会』では、作品を見る前に同じ参加者である健常者と視覚障がい者でグループを作ります。
2名の健常者と1名の視覚障がい者で1組となり、作品の前で健常者が見たことや思ったことを自由に述べることからはじまります。それを聞いた視覚障がい者が「それはどんな色? どんな形?」などと質問しながら、頭の中で作品のイメージを膨らませていくのです。

視覚に頼るのではなく、言葉を通じて互いに想像力を働かせながら一緒に楽しむ鑑賞スタイルです。そのため、グループ内のコミュニケーションがとても重要になります。
ガイドする側、される側という関係ではなく、ボランティアという立場でもなく、あくまで一緒に楽しむ仲間という関係性を大切にしているそうです。

視覚障がいと美術_02

また見える側にとっても、感じたことを言葉に置き換えることで、目で見ているだけでは気づかなかったところが見えてきたり、他人の言葉から新たな見方に気づかされたりと、発見が多いそうです。
美術館で出会った健常者と視覚障がい者が作品について語り合う。とてもステキな時間だと思いませんか?

イタリアの浮き彫り技法を活用した、手で触れて鑑賞できる立体絵画

イタリアの北部に位置するエミリア=ロマーニャ州には、視覚障がい者のために作られた“触る”美術館『アンテロス』があります。

視覚障がいと美術_04
Museo Tattile ANTEROS – Istituto Cavazza

イタリアの伝統的な技法である浮き彫りの技術を活用し、平面にすぎなかった絵画を半立体的な翻案にするというシステムを1994年に誕生させた美術館です。この立体絵画をもちいることで、言葉による説明だけではわからなかった絵画の遠近感や空間構成を、視覚障がい者は手で触れることで理解できるようになったのです。

まず、視覚障がい者は練習用ボードに触れ、絵画鑑賞の基礎となる空間感覚(遠近法など)や形状の読み方を習得します。習得できたところで、立体絵画に触れての鑑賞です。
アンテロス美術館ではこうした作品が30点ほど所蔵されています。イタリアの作品を中心に、『モナリザ』や『ヴィーナスの誕生』など、古代から現代まで世界的に有名な名画ばかりです。

イタリアでは国をあげて、視覚障がい者の芸術鑑賞を支援しているのです。

視覚障がいと美術_03

日本にも視覚障がい者のための美術館は存在します。
児童劇作家である故・村山亜土氏によって東京都渋谷区松涛に創設された美術館『ギャラリーTOM』です。

「ぼくたち盲人にもロダンをみる権利がある」

生まれながらにして視覚に障害のあった村山氏の息子が発したこの言葉がきっかけとなり、村山氏はギャラリーTOMを誕生させました。
1984年の創設以来、『TOUCH ME ART(触れるアート)』をコンセプトに、視覚障がい者が彫刻に触れて美術体験をできる施設として人気を博しています。今年で32周年を迎えた現在も、来場者の途絶えない美術館です。

日本を代表する葛飾北斎の浮世絵が、3Dアートで触れる時代に!

日本でもついに、触れる彫刻だけでなく、触れる立体アートが誕生しました。
視覚障がい者のための美術鑑賞プロジェクトとして、かの有名な葛飾北斎の浮世絵『神奈川沖浪裏』を3Dプリンタで再現することに成功したのです。

視覚障がいと美術_04

このプロジェクトは国立特別支援教育総合研究所の大内進氏の研究に、3Dデジタルツールの販売などを手がけるケイズデザインラボの協力によって実現しました。富士山をバックに巨大な波が描かれた名作を、波の一つひとつにいたるまで丁寧に仕上げ、今にも波がせり出してきそうな迫力ある3Dアートに仕上がっています。
視覚障がい者が言葉でしか知ることができなかった葛飾北斎の世界観を、実際に手で触れて鑑賞できるのです。

視覚障がい者の美術鑑賞の取り組みは日本でも着実に広まっています。少しでも興味を持った方は各自治体やボランティアグループが主催する美術鑑賞ツアーに参加してみてはいかがでしょうか?
今よりもっと美術館を身近なものに感じられるはずです。

▼視覚障がい者にまつわる記事はコチラ
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【参考】
バリアフリーの美術鑑賞 – ウィーン – 行くなら今!
https://www.wien.info/ja/travel-info/accessible-vienna/accessible-museums
視覚障害者と楽しむ美術作品鑑賞会 – 埼玉県ホームページ
http://archive.pref.saitama.lg.jp/site/festival/kansyokai.html
ギャラリーTOM Gallery TOM
http://www.gallerytom.co.jp/
イタリアにおける視覚障がい児者のための絵画鑑賞の取組
http://www.nise.go.jp/kenshuka/josa/kankobutsu/pub_d/d-241/d-241_06_02.pdf

文/深山由佳理
目ディア

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社会人ならマスターしたい! 視覚障がい者の正しい手助け方

社会人ならマスターしたい! 視覚障がい者の正しい手助け方

白杖を使って街を歩く視覚障がい者に出会ったとき、手助けしたい気持ちはあるものの、なにをしていいのかわからず、やり過ごしてしまった経験はありませんか? いざというときでも迷わない、正しいサポート術をお届けします。

いきなり体に触れるのはNG! 最初にひと声かけるのが正解

「白杖を持っているのにスマホを使っていた」「白杖を持っているのに読書……? 目が見えないんじゃないの?」など、このような誤解がネット上で多く見られるので、最初に訂正しておきます。
白杖を持っている方がすべて全盲とは限りません。視覚障がい者の半数以上は『弱視』といわれており、顔を接近させれば見える『強度弱視』、見える範囲が狭い『視野狭窄(しやきょうさく)』など、見えにくさは人それぞれです。
弱視の方は人や障害物にぶつかることを未然に防ぐために白杖を使用しており、これは法律で義務付けられているものです。ぜひ覚えておきましょう。

そして、ここからが本題です。街中で視覚障がい者の方を見かけたとき、あなたはどちらを実践しますか?

まずは声をかける まずは肩を叩く
この答えは……正解!

「なにかお手伝いしましょうか?」
「どちらへいらっしゃるんですか?」
「なにかお困りですか?」
このような言葉で手助けを申し出れば、
その後のやりとりがスムーズです。

この答えは……不正解!

いきなり肩を叩く、手を握るなどの行為
は視覚障がい者をひどく驚かせ、思わぬ事
故につながることがあります。
絶対にやめましょう!

視覚障がい者は道に迷い困っていても、周りが見えないために自分から声をかけにくいものです。視覚障がい者の方を見かけたら積極的に声をかけてみましょう。

視覚障害者の手助け術_2

たとえ相手が申し出を断ったとしても、気にしないでください。その場所に慣れているか、誰かと待ち合わせしているのかもしれません。

誘導する際の基本スタイルは腕組み 常に声をかける優しさを忘れずに

ここでは具体的な誘導法をご紹介します。

基本の誘導スタイル

視覚障がい者の方は腕をつかまれる、体を押される、白杖を持たれる行為は恐怖でしかありません。あなたが視覚障がい者の腕をつかむのではなく、つかまらせてください。
白杖を右手に持っている場合は、あなたが視覚障がい者の左側に立ち、右肩や右腕を貸してあげましょう。腕を組んでもらってもいいかもしれません。こうすることで安心して歩くことができます。

横断歩道を渡るとき

「今は赤です」「青になりました」「これから渡ります」と、そのつど声をかけながら誘導します。

階段の昇り降り

階段に対して直角に近づき、「昇り(降り)の階段です」と、ひと声かけてから昇ります。昇り(降り)終わる前に「残り1段です」と付け加えるとより親切です。

電車やバスの乗り降り

「ここが入り口です」「これが手すりです」と手すりに触れさせてあげると、乗り降りがスムーズです。電車の乗り口とホームに隙間がある場合は具体的な隙間の広さを教えてあげましょう。

視覚障害者_3

道を教えるとき

「あちらです」「北に進みます」と答えるのではなく、視覚障がい者の立ち位置を起点として、前後左右で指示しましょう。

トイレを教えるとき

トイレの案内を頼まれたときは、個室の中まで付き添い、便器の位置と方向、紙とレバーの位置をしっかり教えてから外に出ましょう。異性の場合は、同性の方を見つけてお願いしてあげましょう。

ハーネスをつけた盲導犬は仕事中! 無闇に接触せず静かに見守ろう

日本国内で活躍する盲導犬の数はわずか1010頭。実際に盲導犬を見かけたことがある方は少ないと思います。そこで、盲導犬に出会ったときにやってはいけない4つのポイントをご紹介します。

【1】頭を撫でたり、体やハーネスに触ったりする

【2】声をかけるなどして、注意を引く

【3】食べ物を与える、食べ物を見せる

【4】自分が連れている犬と接触させる

視覚障害者の手助け術_4
引用:http://www.guidedogs.com/site/PageServer?pagename=programs_dog_guide

ハーネス(白い胴輪)をつけた盲導犬は仕事中です。飼い主である盲導犬ユーザーの指示に対して的確に応えるべく、周囲の状況に気を配っています。上記の4つは盲導犬の気を散らし、仕事を邪魔する行為でしかありません。
盲導犬の健気で愛らしい風貌から声をかけたくなる気持ちもわかりますが、周囲の人間は静かに見守るだけでいいのです。もしも盲導犬ユーザーの方が困っていたら、盲導犬ではなく、ユーザー本人に声をかけましょう。
視覚障がい者に出会ったときのマナー、いかがでしたか?
堅苦しく考えるのではなく、思いやりの気持ちを添えたコミュニケーションを目指しましょう。

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【参考】
視覚障者の誘導方法
http://home.c00.itscom.net/t2oho4no/fukusitaiken/yuudou/yuudou.htm
補助犬
http://www.seibi.ac.jp/college/student/is/027/hojoken_1.html
5.補助犬使用者への対応:身体障害者補助犬受け入れマニュアル(事業者編)
http://www.jsdra.jp/files/jigyosha-txt/5.html

文/深山由佳理
目ディア

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