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もうタマネギに泣かされない!?
涙の出ない“第3のタマネギ”ってどんなもの?

もうタマネギに泣かされない!?<br /> 涙の出ない“第3のタマネギ”ってどんなもの?

タマネギを切るときに涙が止まらなくなり、困ったという経験がある方も多いのではないでしょうか。そんな皆さんに朗報です! なんと、涙の出ないタマネギが開発されたんです!
その名も、“第3のタマネギ”。あの『イグノーベル賞』まで受賞した“第3のタマネギ”とは、どういうものなのでしょうか。詳しくご紹介します。

プロジェクト「涙の出ないタマネギを開発せよ」

涙の出ない画期的なタマネギを開発したのは、カレーなどの商品でおなじみの、ハウス食品グループです。しかし、そもそもタマネギを切るとなぜ涙が出るのでしょうか?
実はタマネギを切ることで、涙の原因となる『syn-プロパンチアール-S-オキシド』という揮発性の催涙成分が発生します。この催涙成分は、タマネギの細胞を破壊することで発生する『アリイナーゼ』という酵素を触媒として発生することがわかっていました。
タマネギに存在する『PRENCSO』と呼ばれる主要硫黄化合物が『アリイナーゼ』によって分解され、『1-プロペンスルフェン酸』と呼ばれる中間体となることで、催涙成分が発生すると考えられてきたのです。

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出典:BEATKHIWAY – U.K. farmer breeds the tears out of an onion

しかしあるとき、ハウス食品ソマテックセンターの研究主幹・今井真介氏らによる研究チームは奇妙なことに気づきました。『アリイナーゼ』とタマネギの抽出成分を混ぜ合わせると発生する催涙成分が、精製した『アリイナーゼ』を使用すると発生しなかったのです。
このことに疑問を感じた今井氏らは、「タマネギの抽出物には、隠された未知の成分が存在するのではないか?」と考えました。

この謎に挑んだ研究チームは、租精製されたタマネギアリイナーゼ溶液から、3種類の活性成分を単離することに成功します。そうして発見された新たな酵素は、『催涙因子合成酵素(lachrymatory-factor synthase; LFS)』と名付けられました。
この研究論文は2002年にイギリスの科学雑誌『Nature』に掲載され、LFS発見の功績は高い評価を得ました。そして2013年――この研究が認められ、今井氏らはイグノーベル賞を受賞したのです。ちなみにイグノーベル賞とは、「人を笑わせ、考えさせてくれる研究」に与えられる賞のこと。いわば“裏のノーベル賞”といった位置付けで、毎年さまざまな研究に贈られています。

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ついに開発された“第3のタマネギ”

タマネギを切ることで発生する催涙成分は、同時にタマネギの辛味を生みだす成分でもあります。そして今井氏らによって発見された 『催涙因子合成酵素(LFS)』は、催涙成分の発生に深く関わっています。
このことは、『LFS』と『アリイナーゼ』のどちらかの働きを抑制することができれば、辛味のないタマネギ、つまり“涙の出ないタマネギ”を生みだせることを示唆していました。

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出典:Coupon Clipping Cook – One Pot Herb Roasted Chicken Dinner

しかし催涙成分を発生させる酵素の働きを完全に抑制してしまうと、タマネギの風味成分まで失うことになりかねません。そこでハウス食品は、ニュージーランドの研究機関クロップ・アンド・フード・リサーチのコリン・イーディ氏との共同研究により、RNA干渉を用いてLFS遺伝子の発現を抑制した“ノックダウン・タマネギ(※)”を作ることに成功しました。

※遺伝子ノックダウン……特定の遺伝子の転写量を減少させる操作。遺伝子の機能を減弱させるが、完全には失わせない状態を作ること。

こうして生まれた辛味成分のないタマネギを、ハウス食品は「普通のタマネギ」、「新タマネギ」の2種類に加わる「第3のタマネギ」と位置付けました。
しかし、このタマネギには遺伝子組み換え技術が用いられているため、市場に送り出すことはできません。そのためハウス食品は、第3のタマネギを生みだすために意外なアプローチをおこないます。

なんと遺伝子組み換えではない、“重イオンビームの照射”による種子の突然変異の誘発と、照射集団からの選抜育種という方法を用いたのです。
そして研究グループは、ついに「アリイナーゼ活性の著しく弱いタマネギ」を開発することに成功したのです。

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ハウス食品によると、こうして生まれた“第3のタマネギ”は、オニオンスライスなどの薄切りはもちろん、厚切りのままサラダで食べることも可能なのだとか。辛味のないタマネギは水にさらす必要もないため、水溶性の栄養素が流出することもありません。
近い将来、このタマネギが市場に流通したら、私たちの食卓にも大きな変化が訪れるかもしれませんね。

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【参考】
ハウス食品 ニュースリリース – タマネギ研究でのイグノーベル賞受賞について(PDF)
http://housefoods.jp/company/news/dbpdf/582478291567cc.pdf
ハウス食品 ニュースリリース – 『涙の出ない,辛みのない全く新しいタマネギ』の作出に成功 園芸学会 平成 27 年度春季大会にて発表(PDF)
http://housefoods-group.com/newsrelease/pdf/namida.pdf
Nature – Plant biochemistry: An onion enzyme that makes the eyes water
http://www.nature.com/nature/journal/v419/n6908/abs/419685a.html
Chem-Station -【詳説】2013年イグノーベル化学賞!「涙のでないタマネギ開発」
http://www.chem-station.com/blog/2013/09/onion.html

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人は食べ物を『目』で味わっている!? 食欲を刺激する、視覚の重要な役割とは?

人は食べ物を『目』で味わっている!? 食欲を刺激する、視覚の重要な役割とは?

生活のみならず、生きていく上で欠かすことのできない“食事”という行為。
みなさんも好きな食品や苦手な食品があるかと思いますが、人は味覚だけではなく、視覚でも料理を味わっています。
実は味覚さえ左右するという、料理や食品の色彩。今回は『目』で味わう、料理の謎にせまってみました。

料理は視覚で味わう!?

近年、ユネスコの無形文化遺産に登録されたことでも話題を呼んだ日本料理ですが、実は味覚と同じか、それ以上に“視覚で味わう料理”とされています。
例えば「日本料理は目で味わう」、「フランス料理は鼻で味わう」、「中国料理は舌で味わう」なんて表現されることもありますよね。
私たち日本人は、伝統的に料理を視覚で楽しむという行為に親しんできました。
野菜に現れる鮮やかな緑、熟れた果物の赤、新鮮な魚介類のつやつやとした光沢…。どれも食欲を刺激するものですが、食材の色は鮮度や熟度、品質劣化などを視覚的に判断する大きな要素にもなっています。

野菜を買うときに選択基準となるのは「色」

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ある調査では、ほうれん草を購入するときに何を選択の基準とするかという質問に対し、「色」と答えた人が半数以上いるという結果が示されました。

ほうれん草などに見られる緑色は“クロロフィル(葉緑素)”により現れる色素で、クロロフィルは光合成の明反応で光を吸収する役割をもっています。いわゆる光合成をおこなう化学物質ですが、実際にクロロフィルの色が濃いほうれん草ほど、ビタミンCやカロテンといった栄養素が多く含有されていることがわかっています。

また“カロテン”は、にんじんを始めとした野菜や果物のオレンジ色の主成分でもあり、こうした視覚による食材の判断が、栄養学的にも正しいものであることがわかっています。

料理を彩る額縁、それは食器

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食欲を刺激する食材の色はもちろん大切ですが、料理にはそれを彩る食器も重要。
特に和食で用いられる漆の朱や黒、灰釉(かいゆう)に現れる淡青、淡青緑、乳白色やネズミ色などの色は、西洋の食器には見られない日本独特の色なのです。

黒い食器には食材の色を際立たせる効果がありますし、縁起色とされる赤には食欲を亢進させる効果があります。

一般的に食欲を刺激する色彩とされているのは、赤やオレンジなどの暖色系の色。逆に青などの寒色系の色は、食欲を減退させる効果があるとされています。
これはカラーマーケティングの現場でも使用される効果で、暖色系の色を『進出色』、寒色系の色を『後退色』と称したりもします。
あなたは下の写真を見て、どのカレーライスが美味しそうに感じるでしょうか?

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出典:ColoRhythm♪カラリズム -食に活かす色彩 -おいしさの秘密-

アンケートによると、赤や黄色の暖色系を選んだ人がもっとも多く、逆に青や紫などの寒色系を選んだ人はかなり少なかったそうです。これも視覚が食欲におよぼす影響をあらわしています。

食材はまさに色彩の宝庫!

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緑の色素であるクロロフィルのほかにも、黄色や赤の色素である“カロテノイド”、白や黄褐色の色素である“フラボノイド”など、植物を彩る色素もさまざまです。また、抗酸化物質として知られるアントシアニンやポリフェノールなど、色彩は植物の栄養成分の生成にも大きく影響しています。

そのほか、甲殻類の殻や、それらをエサにするマダイの体表、サケ科の魚類の赤身などに見られる“アスタキサンチン”は高い抗酸化作用を持つことでも知られ、光による障害から目を保護するともいわれています。そして牛や豚などの食肉の赤い色は、色素タンパク質である“ミオグロビン”が現れたものです。

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出典:ニッスイ企業情報サイト – ヒトは目で味わう

こうした食品の色は、さまざまな栄養素となって私たちの体に影響をおよぼす一方、食材の鮮度や味わいを見分ける指標の1つとしても、きわめて重要な役割をもっています。
事実、食事のときに働く五感の割合は視覚がもっとも高く、一説にはその割合は80%から90%にまで及ぶというのですから驚かされます。

目を閉じて食事をすると食材を正確に言い当てることすら困難で、私たちの脳はまず視覚情報により食べ物を認識し、過去の食事経験から味を予測、体内でホルモンの分泌や消化酵素の準備をおこなうといったルーチンを経ながら、「いざ食べよう!」という味わいモードに突入するというわけです。

まさに私たちは、「料理を目で食べている」といっても過言ではないのですね。

【参考】
ニッスイ企業情報サイト – ヒトは目で味わう
http://www.nissui.co.jp/academy/taste/11/index.html
兵庫栄養調理製菓専門学校 – 料理は目で食べている?
http://www.hyoei.ac.jp/library/nadeshiko/198.html

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