目は口ほどに物を言う!?
まばたきの回数でわかる、こんなコトやあんなコト

まぶたを持つ生き物にとって、ほぼ無自覚におこなわれる“まばたき”という行為。
しかしまばたきには、涙で角膜を潤すだけではない秘密が隠されていました。その人の心理状態から、生理学的な特徴までが判明してしまうという、まばたきの不思議。
今回は、まばたきの回数からわかる、さまざまな謎にせまってみました。
まばたきの回数でわかるドライアイの症状
私たちが無意識におこなうまばたきの回数は、成人男性が1分間で20回、女性では15回程度が平均だとされています。
まばたきの主な役割は、目の表面を涙液で潤し、乾燥を防ぐこと。また、目に入った異物を押し流す作用などもあります。
とても重要な働きを持つまばたきですが、“ドライアイ”とも深いかかわりを持っています。なぜなら、ドライアイは『瞬目不全』と呼ばれる、まばたきの不足により生じるからです。
ドライアイは、まばたきの不足により目の表面が乾燥し、さらに涙液のバランスが崩れ、分泌量が低下することから始まります。こうした状態が慢性化し、さらに角膜の表面が傷ついた状態が続くと、ドライアイと診断される可能性が高くなります。
パソコン画面を長時間見つめることやエアコンの送風にさらされることの多い現代人は、常にドライアイの危険と隣り合わせといっても過言ではないのです。
こうしたドライアイ患者の多くは、目の乾燥により、長時間まぶたを開けていることができません。
もしあなたや、あなたの周囲の人が1分間に40回ほども頻繁にまばたきをしているようなら、要注意。ドライアイの症状かもしれません。
まばたきの回数でウソがばれちゃう?
成人男性では1分間に20回程度とされるまばたきですが、この回数は、緊張や集中などによって変動することがあります。
例えば車の運転中は、リラックス状態のときの半分ほどにまで、まばたきの回数が減少しますし、極度の緊張状態の場合は、逆にまばたきの回数は上昇します。
実は、こうしたまばたきの回数の変化には、神経伝達物質“ドーパミン”が深く関わっています。
無意識にまばたきが増減する現象を『不随意性瞬目』といいますが、これは緊張状態やストレスにより、交感神経が働いて起こるもの。ドーパミンによる変化も同様で、極度の緊張状態にさらされると、まばたきの回数が上昇することがわかっています。
特に会話中のまばたきには、緊張により回数の増加が現れると言われています。
会話中には話をすることに気を取られ、意識してまばたきの回数をコントロールすることは困難です。そのため、心理的な変化がまばたきの回数として現れるのです。
例えば、1998年当時のアメリカ大統領ビル・クリントン氏が不倫騒動で釈明会見を開いたとき、1分間に彼がおこなったまばたきの回数は、なんと130回。このことも、極度の緊張下ではまばたきの回数が増えるということを示しています。
もし、あなたの彼女や彼氏がなにかを釈明しようとするとき、まばたきの回数が急に増えたことに気付いたら、その人はウソをついているのかもしれません。
まばたきの回数でニコチン依存症のなりやすさがわかる!?
まばたきには、3種類のまばたきがあるといわれています。
ウインクのように意図的におこなうものを『随意性瞬目』、突発的な光や風などによって誘発されるものを『反射性瞬目』、そして周期的に生じるものを『自発性瞬目』と呼びます。
また、1分間におこなわれるまばたきの回数を“瞬目率”といいますが、この瞬目率の個人差のバラつきについても、これまでは脳内のドーパミン機能のレベルが反映されているものと考えられてきました。
しかしある研究では、ドーパミン受容体の“遺伝子多型(※1)”をいくら調べても、瞬目率の個人差を説明することができませんでした。
そこでドーパミンの活動を調整する『ニコチン受容体』に着目し、DNA配列の個体差を示す遺伝子多型と瞬目率の相関を調べたところ、興味深い結果が示されました。
この研究は、大阪大学と京都大学との共同研究によりおこなわれたもの。
研究によると、ニコチン受容体に関係する遺伝子『CHRNA4』の1箇所に変異が認められたグループの瞬目率が、他のグループより3割も上昇していることがわかりました。
遺伝子多型は日本人の半数近くに見られる特徴で、アジア人においては『CHRNA4』遺伝子の1箇所に変異があると、喫煙によるニコチン依存症になりにくい傾向があることが報告されています。
研究をおこなった大阪大学の中野珠実准教授(神経科学)は、以下のように述べています。
“「まばたきの頻度からニコチン依存症のなりやすさを推定するなど、まばたきは簡便なバイオマーカーとなる可能性があります」”
出典:保健指導リソースガイド−まばたき回数でニコチン依存体質を診断 まばたきの少ない人は要注意
つまり、“まばたきの少ない人の方がニコチン依存症になりやすい”傾向があると言えるのです。
(※1)遺伝子多型……集団の1%以上の頻度で存在するDNA配列の個体差。それより少ない場合を“変異”という。
いかがでしょうか?
私たちが普段何気なくおこなっているまばたきにも、自分ではわからないさまざまな謎が隠されているようです。
まさに「目は口ほどに物を言う」のですね。
【参考】
マイナビニュース – 貴方は大丈夫? 1分間に●回以上のまばたきをすると、ドライアイ
http://news.mynavi.jp/news/2013/08/02/142/
マイナビウーマン – 緊張をすると、まばたきの回数が多くなる心理「平常時:男性 20回 女性 15回」
http://woman.mynavi.jp/article/131128-100/
All About – まばたきでバレる?! あなたのウソ
http://allabout.co.jp/gm/gc/300180/
Rosou(リソウ) – 通説を覆す発見!瞬きの頻度からニコチン依存症のなり易さが推定可能に!?
http://resou.osaka-u.ac.jp/ja/research/2015/20150302_1
保健指導リソースガイド−まばたき回数でニコチン依存体質を診断 まばたきの少ない人は要注意
http://tokuteikenshin-hokensidou.jp/news/2015/004193.php
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《医師監修》「年をとると涙腺がゆるむ」って本当!? もしかしたらそれ、『涙目』の症状かも!

「年をとると、涙腺がゆるくなってねぇ」——。
ドラマでも、日常生活でもお馴染みのフレーズ。
ですがこれ、医学的に証明できるのでしょうか?
眼科医・岡野先生に尋ねたところ、見えてきたのは、ひと口には語れない涙のメカニズム。
さらにデスクワーカーを悩ませる、『涙目』という症状まで見えてきました!
眼科医の見地からズバッと斬る!「年をとると涙腺がゆるむ」はウソ
単刀直入に言いましょう。
「年をとると涙腺がゆるむ」——。それは、あり得ません。
医学的な話をすれば、そもそも涙腺には、「ゆるむ」という表現が見合う、蛇口のような器官が存在しないからです。
合わせて、人間の肌を例に考えてみましょう。
肌は加齢によって水分の分泌量が少なくなり、カサつきを感じ始めます。
涙を分泌する器官である涙腺も同様、年を追うごとに機能が低下し、分泌量が減っていきます。
つまり「年をとると涙腺がゆるむ」=「年をとると涙がよく出る」とは正反対、眼科医の見地からすると、むしろ「年をとると涙が出づらくなる」というほうが正しいのです。
しかし「年をとると涙がよく出る」と感じるのは、間違いではありません。
なぜ、涙腺の状態とは正反対、矛盾とも言える感覚に見舞われるのか?
それを知るには、そもそも「涙」とは何なのかを知る必要があります。
加齢で「脂」が減少!それでも目を守ろうと「塩水」が過剰分泌される
涙は主に「塩水・脂・タンパク質」の3つで成り立っています。
私たちは「涙」と聞くと、さらさらととろみのない液体を思い浮かべますが、これは「塩水」の割合が多い状態。
しかし塩水ばかりでは、空気に触れるとすぐに乾いてしまい、目を守るには物足りません。
目は、涙に含まれた「脂」によって乾燥から守られ、「タンパク質」によって栄養が届けられるのです。
3つのうち、加齢とともに特に減少するのが「脂」。
脂が不足した涙では、目を乾燥から守るには不十分のため、それをどうにか補おうと、体はひたすら「塩水」を分泌させようと躍起になります。
程よくタンパク質(ムチン)や脂を含んだ「とろっとした涙」と、塩水のみの「さらさらとした涙」。
前者は粘度によって、まぶたの内側にとどまりますが、後者は目からこぼれ落ちるため、「涙が出ている」と認識しやすくなります。
加齢によって涙全体の分泌量は減少しているものの、「さらさらとした涙」が分泌される割合が増えるため、「年をとると涙が出やすくなる」と勘違いをしているのです。
孫の成長に号泣!さらさらとした涙は、感情の高ぶりで分泌される!?
この勘違いを引き起こすには、もうひとつの要因があります。
実は、「塩水」と「脂」では分泌される器官が異なり、「脂」の減少に乗じて、「塩水」が躍起に分泌される器官は、感情に左右される側面が大きいからです。
「塩水」は「涙腺」から、「脂」は「マイボーム腺」から分泌されますが、前者は、感情をコントロールする脳の器官「前頭前野」と深い関わりを持ちます。
感動的な場面に出会ったとき、また悲しい場面に遭遇したとき、前頭前野が涙腺を刺激。
加齢とともにさまざまな経験を積めば、その分、感情が豊かになるため、ちょっとしたことでつい涙…という状況を生み出しているのでしょう。
加齢だけじゃない!「脂」を補う「塩水」の過剰分泌は「涙目」の症状
一方、「脂」が分泌される「マイボーム腺」は、まつげの生え際に沿うように存在し、パチパチとまばたきをすることで機能します。
まばたきによって、ポンプのように押し出されてくるのです。
つまり正常にまばたきができていないと、涙に含まれる「脂」の量が減り、目が乾燥しやすくなります。
すると先に説明したように、「塩水」が多く分泌され始める。
「妙に涙がよく出るなぁ」と感じたら、これは『涙目』という症状です。
となれば、「年をとったから…」と放っておいてはいけません。
『涙目』とは言わば、ドライアイの発症を告げるシグナルです。
『涙目』は、加齢に関わらず発症します。
とりわけ、仕事に集中を強いられるデスクワーカーは要注意。あまりに集中が続くと、まばたきを忘れてしまうことがあります。
正常にまばたきができる=正常に「脂」が分泌される環境をつくるため、パソコンと目の距離を調整したり、適度に休憩をとったりなどの対策が必要です。
それでも、あまりに涙が出るようなら、アレルギーや逆さまつげなどの要因も考えられるので、早めに眼科を受診しましょう。
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