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なぜ人は「視線」を感じるのか? 脳がおよぼす奇妙な錯覚

なぜ人は「視線」を感じるのか? 脳がおよぼす奇妙な錯覚

ふと誰かに見られている気がして、目を向けると実際に目が合ってしまった。そんな経験は誰しも持っているはず。でも人はどうして「視線」を感じてしまうのでしょう?

果たして、それにはどんな理由が?

実は、私たちが感じる視線には、脳がおよぼす「ある錯覚」が関係していたようなんです。

誰かに見られている「視線」、実はただの錯覚?

視線をより厳密に定義すれば、眼球にある水晶体と中心窩(ちゅうしんか)を結ぶ「視軸(しじく)」と対象を結ぶ線ということになります。

では私たちが視線を感じることは、この視軸の向けられた距離と方向を無意識に察知できる能力、ということなのでしょうか?

しかしごく単純に考えて、他者の視線が自分に向けられたことで物理的な変化が現れるわけではありません。熱心に見つめることを“熱視線”と呼ぶこともありますが、実際に目から熱が放射されているわけではありませんから、やはり霊的なものでもない限り、私たちに視線を感じる能力などないはずです。

視線を感じる理由_02

その一方で、「目は心の窓」という言葉があるように、私たちは人の目から多くの情報を得ています。心理学的にも視線は人の興味や感情に深く関わっているとされており、視線の動きからさまざまな感情を読み取ることができると考えられています。

しかしコミュニケーションとしての役割は別として、離れた距離にいる相手の視線を感じるには異なるシステムが働いているはずです。実は視線を感じるという現象は、脳がおよぼす錯覚にすぎないという研究結果が報告されているのです。

オーストラリアの大学研究が明かした「凝視認識」

シドニー大学の研究によると、人は実際に見られていなくても、脳が見られていると錯覚させることがあるそうです。こうした能力を「gaze perception(凝視認識)」と呼びますが、これを証明するために、シドニー大学の研究チームはある実験をおこないました。

実験では人の顔を表示したサンプル画像を用意し、その視線がどこを向いているかを被験者たちにたずねました。サンプル画像には、瞳が正面を向いた画像、微妙に視線を逸(そ)らせた画像など複数の偏差を示すものが用意されましたが、被験者の誰もが「自分を見つめている」と答えたそうです。

視線を感じる理由_03
Current Biology – Humans Have an Expectation That Gaze Is Directed Toward Them

こうした凝視認識の裏側では、どのような脳の処理がおこなわれているのでしょうか?シドニー大学のコリン・クリフォード心理学教授によると、脳はただ受動的に目から得た情報を受け取るだけではないのだそうです。

例えば私たちが視線の向きを知るためには、対象である人物の顔の向きと、視軸の向けられた方向、つまり“視覚的な合図”を脳の特定の領域が情報として処理する必要があります。

しかし相手がサングラスをかけていた時、あるいは暗がりで視線の向きが判別できない場合などでは、脳がその不明瞭な情報を、既知の情報に置き換えてしまうことがあるらしいのです。つまり視線の向きが不明瞭な場合には、脳が「見られている」感覚として勝手に処理することがあるのです。

人の脳がなぜこのようなバイアスを設けているのかについては、いくつかの可能性が考えられています。しかしその中でクリフォード教授が挙げるのが、危機回避のための機能です。

自然界で他者を凝視するという行為は、少なからず威嚇や攻撃、あるいは支配といった要素を示します。こうした状況におちいった時、脳がいち早く「見られている」という凝視認識をおこなうことは、少なくとも何も感じないよりは安全といえます。
そのため、脳は実際に見られているという仮定にもとづいて、ふとした違和感を“視線”として感じる処理をおこなうのです。

凝視認識という能力は、いわば誤作動であっても常に安全側に制御される機能、一種の「フェイルセーフ」として脳に備わっていると考えることができるのです。

視線は大切な社会習慣でもあります

しかし私たちは、視線を危機回避のために利用しているわけではありません。既述のように、視線は人とコミュニケーションをとるうえで極めて重要なツールでもあるのです。
ではこのように視線を求める傾向は、学習によって後天的に得られる能力なのでしょうか?

視線を感じる理由_04

実は注視の傾向が赤ちゃんにも見られることから、こうした能力が、ある程度は生得的なものであることがわかっています。しかし、脳の視線処理がどのようにして経験的につちかわれていくのかについては、より詳細な研究が必要だとクリフォード教授は語っています。

例えば自閉症スペクトラムの症状を持つ人の多くに、人と視線を合わせられない傾向があることがわかっています。またその反対に、視線恐怖症などの社会不安障害を持つ人にとっては、視線はより過敏に感じられ、恐怖の対象にさえなることがあります。

この研究がより進めば、社会性不安を抱える人たちにとっても、学習によって脳のフィードバックを得られる方法が見つかる可能性があるとのこと。私たちが普段なにげなく人に向ける視線が、時には恐怖を与える行動につながってしまうことは気に留めておきたいところです。

やはり、人には「優しい視線」を向けたいですよね。

▼視線がおよぼす視覚の不思議、この記事も読んでみて!
“光の魔術師”レンブラントの眼の秘密 『立体盲』ってどんなもの?
早めの気づきと治療が大切! あらためて知りたい『斜視』について
人類の祖先は黒目だけだった!?人間に『白目』がある理由
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【参考】
The University of Sydney – Are people really staring at you?
http://sydney.edu.au/news/84.html?newscategoryid=2&newsstoryid=11335&utm_source=reddit&utm_medium=social
Current Biology – Humans Have an Expectation That Gaze Is Directed Toward Them
http://www.cell.com/current-biology/fulltext/S0960-9822(13)00332-1

文/キネコ
目ディア

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3D映像が飛び出して見えない理由「視覚」がおよぼす原因とは?

3D映像が飛び出して見えない理由「視覚」がおよぼす原因とは?

皆さんは3D映像をご覧になったことがあるでしょうか?キャラクターが目の前に飛び出してくるかのような迫力たっぷりの映像は、通常の映像では得られない臨場感がありますよね。

しかし、こうした3D映像を見ることのできない人々が少なからず存在しています。彼らは、いったいなぜ3D映像を見ることができないのでしょうか。その理由を探ってみましょう。

3D映像が見えない人たち、実はこんなにいます

映画がフィルム方式からデジタル方式に切り替わって、すでに長い年月が経過しています。現在では身近な存在となっている3D(立体)映画も、デジタル技術の普及によって大きな進化を遂げてきました。

しかし、こうした技術を体験するためには、私たちの視覚による個人差を考えないわけにはいきません。これまでにも『目ディア』で取り上げてきた“立体視”の能力にも個人差があり、3D映像を見ることのできない一部の人たちが存在しているのです。

まずは、こうした人々の意見に耳を傾けてみましょう。

いかがでしょう。3D映像を見ることのできない方には、片目が見えないことによるもの、斜視によるもの、乱視によるものなど、さまざまな理由があるようです。

なかには、左右の視力が異なるために3D映像を見ることができないという方もいました。

以前に<レンブラントが『立体盲』だったという記事>でご紹介したように、ものを立体的に見るためには「両眼視」という能力が不可欠となります。3D映像とは、この両眼視により生じた「視差(ズレ)」をスクリーンの上で再現することで立体として見せているのです。

3D映像を見ることのできない人は、約5%

3D映像_02

出典:REALITYPOO – 5.3-D Can Help Diagnose Vision Problems

原因はさまざまですが、3D映像を見ることのできない人は全体の約5%におよぶと考えられています。これは両眼視困難者の絶対数を表すデータではないので注意が必要ですが、マーケティングという意味では無視できない数字ということができるでしょう。

ではなぜ、これらの人々は3D映像を楽しむことができないのでしょうか?すでにいくつかの実例を紹介していますが、その理由を視覚に限定すると、大きく分けて以下のようなものが考えられます。

・不同視(左右の目で視力が大きく異なること)
・斜視
・強度の乱視
・利き目の偏りが大きい
・片目の視力喪失

私事になりますが、筆者も眼振(眼球振盪 がんきゅうしんとう)という症状を抱えているため、立体視に関してはいささかの障害を感じることが少なくありません。その他にも、映像酔いが激しいなど、生理的に3D映像を楽しめない人の存在も考えられるでしょう。

また、一口に3D映像といっても、「偏光フィルター方式」や「干渉フィルター方式」、「液晶シャッター方式」など複数の種類があります。3D映像を見ることができない人の中には、特定の方式との相性が悪い方もいるかもしれません。

しかし、こうした人の中には、トレーニングにより3D映像を見ることができるようになる可能性も考えられます。どうしても3D映像を楽しみたい方は、眼科でご相談されることを検討されてはいかがでしょうか?

▼3Dや立体視についてなら、こんなコラムもご参考に!
迫力満点!大人気の『3D映画』 映像が立体的に見える仕組みとは?
鉛筆だけで描いた絵が飛び出す!? 永井秀幸の3Dトリックアートがすごい!
視力回復、老眼改善!画像と動画で『立体視トレーニング』に挑戦
早めの気づきと治療が大切! あらためて知りたい『斜視』について
近年、子どもたちにも急増中!? 左右に視力差がある『不同視』とは?

▼画像や映像を見ていると、目が乾く?
目のトラブルについて~ドライアイ~(ロート製薬 商品情報サイト)

【参考】
Wikipedia – 立体映画
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E7%AB%8B%E4%BD%93%E6%98%A0%E7%94%BB
Topa-z – 3D映像が立体に見えない?
http://bjns.blog113.fc2.com/blog-entry-36.html

文/キネコ
目ディア

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